
三菱総合研究所は生成AI時代の始まりに向け「生成AIラボ」を新設する。それを記念して「三菱総研 生成AIコラム」の連載をお届けする。
はじめに
サステナビリティ業界の環境分野とエネルギー分野では、気候変動への対応や安定的なエネルギー供給など、持続可能な社会の構築に向けた取り組みが求められている。
環境分野の背景と課題
環境分野では、地球温暖化の進行による異常気象や生態系の変化が顕著になっている。記録的な熱波や豪雨、海面上昇といった現象が頻発しており、人類の生活基盤にも深刻な影響を及ぼしている。都市部では、大気汚染や廃棄物処理の問題が依然として深刻である。2023年には大規模な自然災害による経済損失が約3,000億ドルに達したとの報告や、気候変動対策に遅れをとった企業は2035年までに年間収益の最大7%を消失する可能性(新型コロナウイルス感染拡大による影響のほぼ半分のインパクト)を指摘した報告がある。経済活動が気候変動の影響を受けやすくなっており、企業は持続可能な運営が求められている。
また、国際的には2035年までに大幅な排出量削減を達成することが掲げられており、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目標としている。企業は、自社の温室効果ガス排出量を正確に算定し、排出量を削減するための施策を策定する必要がある。多くの企業が複雑なサプライチェーンを持つ中で、排出源を特定し、具体的な改善策を見つけることは容易ではない。環境規制や基準は頻繁に変更されるため、迅速かつ適切な対応も求められる。これらの課題を解決するためには、大量のデータを収集・解析し、適切な意思決定を支援する技術が不可欠である。
エネルギー分野の背景と課題
エネルギー分野では、化石燃料に依存するエネルギー源からの温室効果ガスの排出削減が急務である。国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2022年の世界のエネルギー関連CO2排出量は過去最高の374億トンに達しており、対策の緊急性が一層高まっている。また、再生可能エネルギーの導入が進む中で、エネルギーの安定供給と効率的な運用が新たな課題にもなっている。再生可能エネルギーは天候や季節に依存するため、供給量が変動しやすい。太陽光発電や風力発電は、天候不順や気象条件の変化によって大きく出力が変動する。変動を平準化し、安定的にエネルギーを供給するには、精密な需給予測と高度なエネルギーマネジメントが必要である。
業界の背景として、複雑な電気事業制度も抱えている。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い電力市場の構造が変化しており、新たな規制や市場メカニズムへの適応が求められている。一般の企業は専門知識とリソースが不足しており、制度変更に伴う迅速かつ効率的な対応の実現が課題となっている。
生成AIの活用事例
生成AIは、サステナビリティ業界の環境分野とエネルギー分野の課題を解決するために活用されている。
両分野に共通するのは、排出量やエネルギー量などを算定・可視化してマネジメントするための活用と、複雑な規制やルールに対応するための活用だ。
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環境、エネルギー分野の課題とは?
データの分析/算定/可視化/マネジメントへの生成AI活用事例
複雑な規制やルール対応への生成AI活用事例
<目次>
■はじめに
■環境分野の背景と課題
■エネルギー分野の背景と課題
■はじめに
■環境分野の背景と課題
■エネルギー分野の背景と課題
・環境分野での生成AI活用事例
・エネルギー分野での生成AI活用事例
■まとめ
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AON 2024 Climate and Catastrophe Insight
https://assets.aon.com/-/media/files/aon/reports/2024/climate-and-catastrophe-insights-report.pdf(閲覧日2025.1.10) -
世界経済フォーラム プレスリリース 2024年12月11日 <報告書発表> 「気候変動リスクは2035年までの企業収益を年間7%減少」 調査結果が警告
https://jp.weforum.org/press/2024/12/press-release-climate-adaptation-and-resilience-press/(閲覧日2025.1.10) -
IEA CO2 Emissions in 2023
https://www.iea.org/reports/co2-emissions-in-2023(閲覧日2025.1.10)