生成AIコラム

第5部 生成AIが導く産業の未来

第5部|第4回:建設・不動産業と生成AI
2024.11.28
飯田 正仁

三菱総合研究所は生成AI時代の始まりに向け「生成AIラボ」を新設する。それを記念して「三菱総研 生成AIコラム」の連載をお届けする。

※「三菱総研 生成AIコラムシリーズ」はこちら。

はじめに

第1部~第4部で紹介したように、生成AIの導入はビジネスの場で大きな変革をもたらす技術と期待されている。実際に、様々な産業界で生成AIの活用が進みつつある。
第5部では、各産業での課題や生成AIの活用事例、今後生成AIが普及していくためのポイントについて紹介する。
本コラムでは、建設・不動産業について紹介する。

建設・不動産業の背景と課題

建設・不動産業は現在、複数の課題に直面している。
建設業は転換期を迎えている。少子高齢化に伴う就業者数の減少や高齢化のほか、いわゆる3K職場とされる厳しい労働環境や「2024年問題」への対応、公共事業の減少や民間投資の停滞など国内市場も縮小傾向にある。
このような背景のもと、建設業界は複数の課題に直面している。2023年の建設業就業者数は483万人で、ピーク時の1997年(685万人)に比べて約3割減の70.5%となっており、減少傾向が続いている。慢性的な労働力不足が進行しているだけでなく、業界全体で常態化していた長時間労働や2024年問題への対応も求められ、労働環境の改善が急務な状況となっている。国内市場規模の縮小傾向は、企業の収益性低下を招いている。
不動産業に関して、令和5年の地価公示によると全国の地価は2年連続で上昇している。住宅地は都市中心部での需要が堅調、商業地も店舗需要が回復傾向の一方で、不動産の需要構造は大きく変化している。高齢単身世帯の増加もあり、遊休不動産の増加や不動産ストックの老朽化が進み、不動産の活用方法は多様化している。さらに、業界の大半を中小事業者が占めており、経営資源や技術力の限界も顕在化しつつある。
このような背景のもと、不動産業界は、適切な物件を迅速かつ的確に提供することが求められており、需要者の多様なニーズに対応した不動産供給やマッチングが課題となっている。また、限られた経営資源や技術力の中で、労働力不足と円滑な事業継承も課題となっている。

社内業務効率化への生成AI活用

これらの課題に対する解決策として、生成AIの活用が有望である。まず、他の業界と同様、社内業務の効率化での活用が進んでいる。生成AIの導入により事務作業やデータ入力・管理、書類作成など定型作業の自動化が可能となり、従業員の負担を軽減することができる。労働時間の短縮や生産性の向上が期待される。

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▼このコラムでわかること

建設・不動産業の課題とは?

生成AIによる社内業務効率化の具体例

実際の業務プロセスにおける生成AI活用事例

<目次>
■はじめに
■建設・不動産業の背景と課題

(限定ページ)

■社内業務効率化への生成AI活用
■業務プロセス支援への生成AI活用
 【建設業】
 ・設計支援
 ・施工支援
 ・運用/保守支援
 【不動産業】
 ・査定支援
 ・商談/仲介支援
 ・管理業務支援
■まとめ
  1. 2024年4月から適用される働き方改革関連法の時間外労働の上限規制に関連する諸問題。具体的には、時間外労働が月45時間、年間360時間を原則とし、特別な事情があっても年間720時間以内、かつ月100時間未満、2~6ヶ月平均で80時間以内とする厳格な上限が定められるため、労働時間の削減や生産性向上が急務となっている。
  2. 一般社団法人日本建設業連合会 建設業デジタルハンドブック 建設業の現状 4. 建設労働
    https://www.nikkenren.com/publication/handbook/chart6-4/index.html(閲覧日2024.11.1)
  3. 国土交通白書2023
    https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r04/hakusho/r05/html/n2538000.html(閲覧日2024.11.1)

筆者

筆者 飯田 正仁 株式会社三菱総合研究所 デジタルイノベーション部門 生成AIラボ
飯田 正仁
株式会社三菱総合研究所
デジタルイノベーション部門 生成AIラボ

学生時代はOR・数理工学を専攻、現在はAI・XR・量子など新しい技術の最新動向や社会に与える影響を調査研究しています。身近なところに最新技術のある子供たちが、将来どんなふうに成長していくのか、とても楽しみです。

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