生成AIコラム

第1部 企業における生成AIの活用法

2023.10.26
研究理事 比屋根 一雄

1. ChatGPTは言語生成AI

ChatGPTは言葉を生成するAIである。小説の出だしを書かせてみよう。
私:「森の中で眠る猫」から連想される小説の1シーンを100文字で書いてください。
ChatGPT:深い森の中、古びた石の祠の下で、一匹の猫が静かに眠っていた。
月明かりがその毛並みを照らし出し、祠の影が彼の小さな体を包んでいた。
突然、軽やかな足音が聞こえ、猫の耳がピクリと動いた。
少女が現れ、猫に優しく声をかけた。
「ここで待っていたの?」彼女の瞳には秘密めいた輝きが宿っていた。
なかなか趣のある情景を書き出した。わずかな手掛かりで、空想を膨らませるのはChatGPTが最も得意とするところである。「作り話をする」のがChatGPTの本質である。
次は、キャッチコピーを作らせてみる。
私:「森の中で眠る猫」を表すキャッチコピーを2つ作ってください。
ChatGPT:「森の秘密、猫の夢。静寂の中、物語が始まる。」
「森の囁き、猫のため息。自然の中で、最も優雅な休息を。」
やや陳腐ではあるが、キャッチコピーらしい感じは出ている。
私:「子供向けにもキャッチコピーを2つ作ってください。」
ChatGPT:「冒険の森、猫の夢の中へ!一緒に遊びに来てね!」
「ひみつの森で待ってるよ!猫との楽しいお話を探しに来て!」
作り方を指示すれば、ChatGPTはいろいろ役立つことがイメージできただろうか。このようにChatGPTは言語を生成するAIである。

2. 生成AIは「誰でもAI」「気軽にAI」「何にでもAI」

従来の特化型AIは、特定業務の特定データをAIが学習し、そのAIを使うのも特定業務に携わる一部の社員だけであった。一方、ChatGPTのような対話型の生成AIでは、ユーザーインタフェースが自然言語になったため、誰でも気軽に使うことができる。しかも、汎用性が高いため、多様な業務に活用できる。
つまり、「誰でもAI」「気軽にAI」「何にでもAI」で全社員にAI利用者を拡大できる。
【図表:「誰でもAI」「気軽にAI」「何にでもAI」】
図表:「誰でもAI」「気軽にAI」「何にでもAI」
出所:株式会社 三菱総合研究所



ChatGPTは極めて汎用的である。多くの方々がChatGPTに質問する。もちろん質問に回答するのは基本であるが、作り話をするだけでなく、様々なタスクを依頼することができる。複雑で長い文章でも自然に生成できる。
メールの文案を作成したり、スピーチの原稿を書かせることができる。もっと長文のレポートすら自動作成できる。文章を生成するだけではない。文章の要約や翻訳、文章の添削や校正など日常業務で使えるシーンは多い。さらには企画のアイデア出しや、実施手順の考案、企画案や実施案の評価まで、かなり的確に行ってくれる。
Excelと組み合わせて表全体を埋めてくれる。ソフトウェアのコーディングは実用レベルである。一般社員でもExcelマクロ等の作成に役立つだろう。
【図表:ChatGPTの主な用途】
図表:ChatGPTの主な用途
出所:株式会社 三菱総合研究所



ChatGPTはスタートアップ企業OpenAIが開発した大規模言語モデルGPT-3.5/GPT-4を用いたAIチャットサービスである。2022年11月のリリース後に、その驚くべき高性能で大ブレイクした。
【図表:ChatGPTの要約例】
図表:ChatGPTの要約例
出所:株式会社 三菱総合研究所



3. ChatGPT以外の生成AI

ChatGPTは生成AIである。AI(人工知能)の一つが生成AIである。ただし、人工知能の1分野が機械学習であり、その1分野に深層学習(ディープラーニング)があり、深層学習の1つの応用分野が生成AIである。
【図表:人工知能と生成AI・ChatGPT】
図表:人工知能と生成AI・ChatGPT
出所:株式会社 三菱総合研究所



ChatGPTは生成AIの中で言語生成AIと呼ばれる。言語生成AIには、GoogleのBartやオープンソースのLLaMA等、多数ある。言語生成AIでもGitHub Copilotのようにプログラミングに特化したコード生成AIもある。
言語以外にも多様な生成AIがある。一番有名なのは画像生成AIであろう。Stable DiffusionやMidjourney等は、本物と見紛うばかりの高品質な画像を生成できる。静止画像だけでなく映像生成も実用段階に入りつつある。
また、音声生成AIや音楽生成AI、3Dモデル生成AIも登場している。あらゆるコンテンツの生成が可能になってきた。
【図表:様々な生成AI】
図表:様々な生成AI
出所:株式会社 三菱総合研究所



〇言語生成AI


言語生成AIのMicrosoft Bingチャットは、出資先のOpenAIの技術を採用したAIチャットである。ChatGPTと異なりWeb検索に特化したサービスである。ChatGPTが間違いというより作り話をしがちであるのに対し、BingチャットはWeb検索した情報源を元に回答するので、比較的回答に信頼がおけるのが特長である。
Googleの言語生成AI のBartは、独自の大規模言語モデルPaLM-2を採用したチャットAIサービスである。Google検索を元にした信頼性の高い回答と高速な応答に特長がある。
【図表:Microsoft BingチャットとGoogle Bart】
図表:Microsoft BingチャットとGoogle Bart
出所:株式会社 三菱総合研究所



〇画像生成AI


言葉で描写した絵や写真を作るのが画像生成AIである。詳しく指定すれば、かなり目的に近い画像を生成できるようになった。
下図は次の指示文章を与えて生成した画像である。
「真っ青な空、白い雲、さんさんと降り注ぐ真夏の太陽の下、
日本の国会議事堂を背景にして、
数人の職員が楽しそうにランチを食べている水彩画(or写真)」
まだ違和感はあるが、かなり描写に近い画像が生成できている。熟練者が指示すれば、リアルな写真と見紛う高品質の画像が生成できる。また、Adobe Fireflyのような商用画像生成サービスを使えば、一般ユーザでも十分に高品質の画像を得られるようになった。
【図表:画像生成AIが出力した画像】
図表:画像生成AIが出力した画像
出所:Stable Diffusionで生成  https://stablediffusionweb.com/#demo



ここまでChatGPTをはじめとする各種の生成AIを概観した。この1年で急速に登場した生成AIが多く、技術進歩が目覚ましいことが分かる。手軽に使える生成AIも多いので、是非手に取って試してみることをお勧めしたい。

筆者

筆者 比屋根 一雄 株式会社三菱総合研究所 執行役員・研究理事 デジタルイノベーション部門 生成AIラボ センター長
比屋根 一雄
株式会社三菱総合研究所 執行役員・研究理事
デジタルイノベーション部門 生成AIラボ センター長

経済産業省のAIプロジェクトで研究リーダーを10年務める。ビッグデータ解析・AI技術を活用したDXコンサル&AIソリューション事業、および、社内のデジタル変革を主導する。専門は人工知能(AI)の技術・産業動向、社会インパクトの研究。10月より生成AIの活用を加速するため「生成AIラボ」を創設した。

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